低価格ながら真空管の音圧感が得られる真空管プリアンプ、ART TUBE MP Studio V3を紹介します。
私の19年にわたる個人的な使用経験に基づいて、ここがおすすめというポイントだけではなく、ちょっとね~というようなマイナスのポイントや、使用の際に注意すべきポイントもあわせて紹介します。
この機種を導入しようかどうしようか迷っている方に参考になれば幸いです。
この記事はこんな人におすすめ!
- ART TUBE MP Studio V3の特徴について知りたい
- ART TUBE MP Studio V3がクリーンブースターとして使えるかどうか知りたい
- ART TUBE MP Studio V3のレイテンシーが心配
- ART TUBE MP Studio V3の使用上の問題点を知りたい
商品概要
- メーカー:ART (Applied Research and Technology)
- 商品名:Tube MP Studio V3
- マニュアル:メーカー英語マニュアル
- 機能概要:真空管プリアンプ
- レイテンシー(ダイレクト接続の音との差):なし
- サイズ(幅x高さx奥行):140mm x 51mm x 127mm(実測)
- 重量:680g(実測)
- 電源:付属ACアダプターにより供給 (9V 1.0A AC)
- バッテリー寿命:バッテリー使用不可
- 実勢販売価格:14,000円弱(2021年5月現在)
- 購入時期:2003年1月
良い点
1. 真空管テイストの音
これを通すことによって、真空管テイストのあるサウンドにできます。
本物の真空管(12AX7)を使っていますので、アンプシミュレーターなどの真空管のシミュレーションとは別格です。
INPUTつまみと+20dBのプッシュスイッチの調節によって、サチュレーション感や歪み感を調整できるので、クリーンブースターとしてもクランチサウンドの軽いオーバードライブとしても使えます。
2. 余裕のヘッドルーム
INPUTつまみを最大にすると+40dB、+20dBのプッシュスイッチをONにすれば最大+60dBものゲインが稼げます。
さらにOUTPUTつまみでも最大+10dB稼げますので、トータルで+70dB稼げることになります。
クリーンブースターとして大活躍できる機種です。
3. 16種類のプリセットが選べるVOICINGつまみ
VOICINGつまみを回すことによって、音にいろいろな色付けをすることができます。
私がよく使うのは、NEUTRAL-FLAT、NEUTRAL-GUITAR、WARM-E.GUITAR、WARM-VALVEの4種類です。
OPL(リミッター)を加えられるプリセットもありますが、私はあまり使っていません。
4. INPUTとOUTPUTにそれぞれ1/4”PhoneプラグとXLRプラグがある
INPUTでは2つを同時に使用することはできませんが、OUTPUTは2つを同時に使用することができます。
私は音を分岐するスプリッターを持っていないので、スプリッターとして重宝しています。
当サイトでレイテンシーを測定する際にはいつもこれを使っています。
5. ゼロ・レイテンシー
レイテンシーの測定結果は以下の通りです。
目立ったレイテンシーは測定できませんでした。
アナログ機材って本当に素晴らしいですね。
悪い点
1. ACアダプターが必須
本体に供給される電源は9VACです。DC(直流)ではなくAC(交流)です。
付属のACアダプターは入力がAC100V 50/60Hz、出力がAC 9V 1.0Aです。
本物の真空管を使っているし、上記のヘッドルームのためにはしょうがないですが、重たくて大きいです。
2. バイパス・スイッチがない
当機種に繋いだ場合、音は常に真空管を通る形になります。
バイパス・スイッチがあれば、真空管のサチュレーションのかかり具合を簡単に比較できるので便利なのですが、残念ながらそれは不可能です。
まとめ
他のレビュアーの方々からは、ノイズがひどいとか搭載されている真空管の質が悪いとかいろいろと指摘されていますが、私の機材ではそのような問題は起きていません。
真空管も今のところ最初からついていたものを使用しています。
12AX7の真空管はいろんな種類を買い込んでいますので、機会があれば真空管の交換にもチャレンジしてみたいと思います。