付属ソフトウエアで無限に多彩な歪みのサウンドを創出できる、PositiveGrid Bias Distortion Twinを紹介します。
私の1年間の個人的な使用経験に基づいて、ここがおすすめというポイントだけではなく、ちょっとね~というようなマイナスのポイントや、使用の際に注意すべきポイントもあわせて紹介します。
特に皆さんが気になるこの機種のレイテンシー については、詳しく解説します。
この機種を導入しようかどうしようか迷っている方に参考になれば幸いです。
この記事はこんな人におすすめ!
- PositiveGrid Bias Distortion Twinの特徴について知りたい
- PositiveGrid Bias Distortion Twinがクリーンブースターとして使えるかどうか知りたい
- PositiveGrid Bias Distortion Twinのレイテンシーが心配
- PositiveGrid Bias Distortion Twinの使用上の注意点が知りたい
商品概要
- メーカー:PositiveGrid
- 商品名:Bias Distortion Twin
- マニュアル:n/a
- 機能概要:マルチエフェクター
- レイテンシー(ダイレクト接続の音との差):約2.5ms
- サイズ(幅x高さx奥行):146mm x 62mm x 132mm
- 重量:0.8kg
- 電源:付属ACアダプターにより供給 (9V/センターマイナス)
- バッテリー寿命:バッテリー使用不可)
- 実勢販売価格:40,000円弱(2021年10月現在)
- 購入時期:2020年10月
良い点
1. Bias Pedalソフトウエアによる無限のペダルの拡張
付属のBias Pedal Distortionソフトウエアを使うことによって、ほぼ無限の種類のディストーションサウンドを作ることができます。
その中から9種類のペダルを本体内に保存することができます。
Bias Distortion Twin本体に保存した後は、PC/Mac/iOSを接続しておく必要はなく、スタンドアローンで使用できます。
以下の9つが初期設定時にBias Distortion Twin本体に保存されているペダルです。上書き可能です。
Bias Pedal Distortionソフト内にあるペダルは以下の通りです。まず、Distortionとして13種類。
続いて、Overdriveとして17種類。
Fuzzとして7種類。
最後に、Boosterとして4種類です。これはBias Distortion Twinの右のフットスイッチを押して起動するブースターとは別で、他の歪みペダルと同様、Bias Distortion Twinの左のフットスイッチを押して起動するブースターです。
Bias Pedalソフトウェア内で一からオリジナルなペダルを設計することもできますが、すでに多くの先人がいろんなペダルを作ってPositiveGridのToneCloudに上げてくれているので、その中から選ぶこともできます。
2. Bluetooth接続
iOS機器やPC/Macには、通常のUSB接続以外にBluetoothによる接続も可能です。「USB」と表示されている上の白いボタンを押してBluetooth機能を起動します。配線が少なくなって便利です。
3. プースター内臓
右側のフットスイッチはプースターのon/offになっていて、Treble / Clean / Fatの3種類を選べるブースターになっています。これがかなり強力です。
悪い点
1. 重くてデカい
重さが0.8kgもある上にデカイです。
高さもかなりあります。
もしBias Distortion Twinをエフェクトボードに組み込む予定があるのならば、蓋が閉まらなくなるリスクがあるのでエフェクトボードを慎重に選ぶ必要があるでしょう。
ゴム足はついていませんので、これ以上高さが低くなることはありません。
2. レイテンシー
エフェクター内を経由しない音と比べたレイテンシーの測定結果は以下の通りです。
不思議なことに、選ぶエフェクターによってレイテンシーの速度が変わります。謎だったので、いろいろ調べてみました。
まずブースターをONにしただけの状態です。
結果:00:00:00.03 = 03 / (25 x 80) x 1000 = 約1.5ms
次に内蔵のClassic Valveを選んだ状態です。
結果:00:00:00.05 = 05 / (25 x 80) x 1000 = 約2.5ms
続いて内蔵のScreamerを選んだ状態です。
結果:00:00:00.05 = 05 / (25 x 80) x 1000 = 約2.5ms
続いて内蔵のBlues ODを選んだ状態です。
結果:00:00:00.05 = 05 / (25 x 80) x 1000 = 約2.5ms
続いて、Bias Pedalに搭載されているCentaurをDistortion Twinにインストールした状態です。
結果:00:00:00.05 = 05 / (25 x 80) x 1000 = 約2.5ms
内蔵エフェクターのレイテンシーに大きな違いがないので、Bias PedalのToneCloudの中からMXR EVH5150をダウンロードしてBias Distortion Twinにインストールしてテストしてみます。
結果:00:00:00.05 = 05 / (25 x 80) x 1000 = 約2.5ms(わかりにくいですが)
最後に、Bias PedalのToneCloudの中からCentaur Pedal MatchをダウンロードしてBias Distortion Twinにインストールした状態です。これがなぜか途方もなく遅くなります。
結果:00:00:00.25 = 25 / (25 x 80) x 1000 = 約12.5ms
ほとんどのエフェクターでは3ms以内なので、いい線いっていると思いますが、一部のエフェクターでなぜ遅くなるかは未だ不明です。今後も原因を探していきます。
3. つまみでパラメーターを変えた後、セーブ作業が必要
つまみを回してパラメーターを変えた後、エフェクトを他の種類に切り替えたり、エフェクトのオン・オフを切り替えると、変えたパラメーターが元に戻ってしまいます。
これを避けるためには、つまみを回してパラメーターを変える度にフットスイッチを長押しして本体内のパラメーターの値を保存しないといけません。
これがちょっと面倒くさいです。
4. 電池駆動できない
電池駆動できないのは厳しいです。ACアダプターで使用するのが現実的なようです。
5. 高価格
ペダルエフェクターとしては、ちょっとお高めです。無限の音色が手に入るのなら、ここは我慢か。。。
まとめ
値段はお高めですが、歪みのエフェクターで究極の自由を得たいのであれば、これはまさに理想のペダルと言っていいと思います。
プログラムによってレイテンシーが大きくなる点については、今後も原因を探していきます。