Multi Effector

【使用レビュー】Line6 HELIX 3.15 ファームウエア・アップデート

2022年2月17日

2022年2月8日にHELIX 3.15ファームウエア・アップデートが発表されました。

新しいアンプモデリング1種類、新しいエフェクト10種類、新たに追加されたLegacyエフェクト18種類を含む、大変充実したアップデートになっています。

私も早速アップデートして使ってみましたので、レビューをします。

この記事はこんな人におすすめ!

  1. HELIX 3.15ファームウェア・アップデートをやる価値があるかどうか知りたい
  2. ファームウェア・アップデートのやり方について知りたい
  3. ファームウェア・アップデートをやる際の注意点について知りたい
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アップデート方法

1. Helix/HXをUSBケーブルでMac/PCに接続し、Helix/HXの電源を入れる。

2. HX EDITアプリでバックアップをとる

これをしておかないと、せっかく作ったパッチが全部消えてしまいます。

3. Line 6 Updateを起動してアップデートを実行する

Line 6 Updateを起動すると、Line 6に登録しているユーザーIDとパスワードを聞いてきて、それを入力すると以下の画面が表示されますので、対象となる機種を選択します。(私の場合はHX STOMP)

Ver3.15の「Update」ボタンを押します。

「Continue」ボタンを押します。

「Accept」ボタンを押します。

アップデートが始まります。当然ですが、アップデート中は絶対にUSBケーブルを引き抜かないでください。

アップデートが完了しました。

4. Helix/HXのファクトリーリセットを行う

各機種のやり方は以下のとおりです。

- Helix Floor/LT: フットスイッチ 9 & 10(下段の中央2つ)を同時に押しながら電源を入れる。

- Helix Rack: ノブ5 & 6 (画面下の右側2つ) を同時に押しながら電源を入れる。

- HX Effects: フットスイッチ 6 & TAPを同時に押しながら電源を入れる。 

- HX Stomp: フットスイッチ 2 & 3(右2つ)を同時に押しながら電源を入れる。 

- HX Stomp XL: フットスイッチ C & Dを同時に押しながら電源を入れる。 

5. HX EDITで上述2でとったバックアップからリストアする

これで完了です。早速使ってみましょう!

新アンプ・エフェクター

1. Line 6 Ventoux アンプ

リリースノートによると、「70年代初期のOrangeと中出力のFender Tweedの回路をベースにしたオリジナル・ブティックアンプ」とのことです。

デフォルトのプリセットの音色はいまいち気に入りませんでしたが、いろいろとパラメーターをいじってみると、なかなか味のあるアンプモデルだと思うようになりました。

クリーンからハイゲインまで幅広い用途に使えそうです。

HP Filterというパラメーターから動かしてみるといいかと思います。

落ち着いたトーンにしたければ値を小さく、アグレッシブなトーンにしたければ値を多くします。

その他のMid / Presence / Depthの3つのパラメーターは名前からは想像しにくいですが、基本的にはイコライザーです。

Midが中域、Presenceが高域、Depthが低域の音量をコントロールします。

これらのパラメーターの設定はDriveで設定した歪み方にも影響を与えるので、それぞれのパラメーターが相互に影響し合っていてなかなか複雑ですが、面白いと思います。

2. Ampeg Opto Comp コンプレッサー

Ampeg Opto Compをベースにした(名前そのままやんけ)コンプレッサーです。

普通に使えます。

3. Ampeg Liquifier コーラス

Ampeg Liquifier chorus pedal(これも名前そのまま)をベースにしたコーラスです。

これも普通に使えます。

4. Heliosphere ディレイ

Line 6のオリジナルディレイで、ディレイのフィードバック音にリバーブをかけられるというものです。

通常のDelayとReverbを組み合わせればできないことではないと思いますが、それが1個のエフェクターに集約されているのは、ブロック数の節約に役立っていいと思います。

5. ADT ディレイ

Line 6のオリジナルのADTです。

ADTとは、Automatic Double Trackingで、ビートルズの録音時の生産性向上のためにアビーロード・スタジオ(当時のEMIスタジオ)のエンジニア、ケン・タウンゼントが発明した装置で、この辺の話はジョージ・マーティンの著書「耳こそはすべて」やジェフ・エメリックの著書「ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実」に詳しく書かれています。

要は、ダブルトラック(1つのボーカルパートなどを2回録音して重ねて再生すること)の手間と貴重なテープのトラック(当時は4トラック)を節約するために、一回録音したトラックをちょっと周波数などの特性を変えて別のテーブにダビングして、両方同時に再生するというものです。

Line 6オリジナルのエフェクターではテープのサチュレーションなどのパラメーターが豊富で、なかなか細かい設定ができて面白いのではないかと思いました。

私はWavesのAbbey Road Reel ADTプラグインも持っていますが、当然お金がかかりますし、Helix/HXユーザーはただでアップデート出来るので大変お得だと思います。

6. Criscross ディレイ

Line 6のオリジナルディレイで、2つのディレイラインをクロスフィードバックできるというものです。

ちょっと触ってみましたが、使い方がいまいちよくわかりませんでした。

7. Tesselator ディレイ

Line6のオリジナルディレイで、これは面白いディレイです。

通常のディレイは、同じ時間の間隔でフィードバック音を繰り返ますが、このエフェクターはその速度を早くしたり遅くしたりできるのです。

例えばFirstパラメーターで100ms、Lastパラメーターで200ms、Stepsパラメーターで10を指定すると、最初の1回目のフィードバック音は100msで再生されますが、10回目のフィードバック音は200msで再生されます。

フィードバック音の再生方向も、Forward(通常再生)、Reverse(逆回転)、Fwd/Rev(通常再生と逆再生を交互に行う)を選択できます。

まずギターで何かひとつフレーズを弾いてみて、エフェクトをonにするとフィードバックの再生が始まるという使い方をします。

8. Ratchet

Line 6のオリジナルディレイで、上述のTesselatorの簡略版で、フィードバック音の時間間隔の引き延ばしなどが出来ないバージョンです。

リリースノートでは、エフェクトスイッチをモメンタリー(押している間だけエフェクトがかかるようにすること)に設定することを推奨しています。

これを使えば、ギターでひとつフレーズを弾いた後エフェクトスイッチを押せば、押している間だけフィードバック音が再生されるという使い方ができます。

9. Dynamic Plate

10. Dynamic Room

Line 6のオリジナルリバーブで、ハイエンド・スタジオラック・クオリティのリバーブとのことです。

私はあまりリバーブは使いませんが、高品質のリバーブが搭載されるのはいいことだと思います。

11. Shimmer リバーブ

Line 6のオリジナルリバーブで、シマーエフェクトを作り出すことができます。

映画音楽のSFX的な飛び道具として活躍できそうです。

12. Legacy Effect 18種類追加

POD Farm 2.5から18種類のLegacy EffectがHelix/HXでも使えるようになりました。

私は大昔からPODxtを愛用しているので、どれも既に所有済みですが、昔のエフェクターが今の機材の上で使えるのは便利です。

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ディストーションではKiller Zが選ばれていますが、これはBOSS MT-2 Metal Zoneのモデリングです。

これで私のHX STOMPの中には、2種類のLegacyのMT-2のモデリング(Heavy DistKiller Z)が存在することになりました。

あと、面白いエフェクターとしてはTape Eaterというモジュレーション・エフェクターがあります。

お歳を召された方であれば、カセットテープレコーダーのテープがヘッドに巻きついて(当時は「テープがスパゲッティになった」と呼んでいました)大変なことになった経験をされたことがあるかと思いますが、事故のあとのテープを再生したような音が出せるというものです。

その他 Global CCに関する変更

私にとってちょっと便利な変更点は、デフォルトでMIDIのCC75-CC81を使って各エフェクターのパラメーターをコントロールできるようになったことです。

もちろんこれまでも個々のパラメーターをMIDIのCCでコントロールすることはできたのですが、いちいちそれぞれのパラメーターにMIDI CCをアサインしておかないといけなかったので大変面倒でした。

便利になったのは確かなのですが、Line 6社が将来のためにリザーブしていたGlobal CCが尽きたということで、一般に開放されていたCC77-81が接収されてしまいました。

私はCC81-CC90をMIDIフットスイッチにアサインしていろいろな設定に使っていたので、CC81が犠牲になってしまい、再設定が必要になってしまいました。

まあ、大した設定変更ではないです。

まとめ

以上、HELIX 3.15アップデートを駆け足でレビューしましたが、いかがでしょうか。

大変満足のいくアップデートではないかと思います。

リリースノートには、「THE BECAUSE 3.20 ISN’T DONE YET UPDATE」とあって、「するってえと、3.20アップデートはもっと凄いものが準備中なの?」と期待を膨らませてしまいます。

約半年に1度の頻度でこのようなアップデートで楽しませてくれるLine 6社は素晴らしいメーカーです。

Helix/HXユーザーの皆さんにアップデートをお勧めします。

くれぐれもアップデートの前にはバックアップをお忘れなく。


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