Multi Effector

【使用レビュー】BOSS GT-1

2021年10月1日

低価格ながら本格的な多機能マルチエフェクター、BOSS GT-1を紹介します。

この記事はこんな人におすすめ!

  1. BOSS GT-1の特徴について知りたい
  2. BOSS GT-1に搭載されている全てのアンプ・エフェクターの完全なリストが知りたい
  3. BOSS GT-1のレイテンシーが心配

この機種を導入しようかどうしようか迷っている方に参考になれば幸いです。

商品概要

  • メーカー:BOSS
  • メーカーサイト:https://www.boss.info/jp/
  • 商品名:GT-1
  • 商品サイト:https://www.boss.info/jp/products/gt-1/
  • 機能概要:マルチエフェクター
  • 取扱説明書(日本語):
    https://www.boss.info/jp/support/by_product/gt-1/owners_manuals/2b93c5d4-a3b2-491b-a476-22d4305234b4/
  • 内臓ファームウェアのバージョン:Ver 1.08
  • レイテンシー:
    ダイレクト接続の音との差:約1.5ms
    ラウンド・トリップ・レイテンシー(RTL)約5.6ms(48KHz/16samples)
  • サイズ:幅x高さx奥行 305mm x 152mm x 56mm
  • 重量:1.3kg
  • 電源:単3電池x4本またはACアダプター(別売)により供給
    (9V/センターマイナス)
  • バッテリー寿命:単3アルカリ電池使用時:約7時間
    (メーカー公表値)
  • 実勢販売価格:21,000円弱(2021年10月現在)
  • 購入時期:2020年9月

良い点

1. 豊富なアンプモデル・エフェクター数

搭載されているアンプモデル・エフェクターの種類は以下の通りです。(以下リストはメーカーのパラメーターガイドを参考に作成しました。)

FX1/FX2(23種類)
エフェクターラインのどの位置に配置することもでき、FX1とFX2に同じエフェクターを選ぶこともできます。

- COMPRESSOR(以下の8種類からタイプを選ぶことができます)
--- BOSS: Boss CS-3
--- HI-BAND
--- LIGHT
--- D-COMP: MXR DynaComp
--- ORANGE: Dan Armstrong Orange Squeezer
--- FAT
--- MILD
--- STEREO
- LIMITER(以下の3種類からタイプを選ぶことができます)
--- BOSS
--- RACK 160S: dbx 160x
--- VTG RACK U: UREI1178
- T.WAH
- GRAPHIC EQ
- PARAMETRIC EQ
- TONE MODIFY
- GUITAR SIMULATOR
- AC. GUITAR SIMULATOR
- SLOW GEAR
- OCTAVE
- PITCH SHIFTER
- HARMONIST
- OVERTONE
- FEEDBACKER
- AC. PROCESSOR
- PHASER
- FLANGER
- TREMORO
- ROTARY
- UNI-V: Uni-vive
- VIBRATO
- CHORUS
- SUB DELAY

PEDAL FX(7種類)
- CRY WAH: Cry Baby
- VO WAH: Vox V846
- FAT WAH
- LIGHT WAH
- 7STR WAH
- RESO WAH
- PEDAL BND

OD/DS(22種類)
Bossのエフェクターのモデリングが4種類含まれています。
- MID BOOST
- CLEAN BST
- TREBLE BST
- CRUNCH
- NATURAL OD
- WARM OD
- FAT DS
- LEAD DS
- METAL DS
- OCT FUZZ
- A-DIST
- BLUES OD: Boss BD-2
- OD-1: Boss OD-1
- T-SCREAM: Ibanez TS-808
- TURBO OD: Boss OD-2
- DISTORTION
- RAT: Proco RAT
- GUV DS: Marshall GUV’NOR
- DST+: MXR DISTTORTION+
- METAL ZONE: Boss MT-2
- 60S FUZZ: Fuzz Face
- MUFF FUZZ: Electro-Harmonix Big Muff Pi

PREAMP(22種類)
Marshall系が2種類しかないのが残念です。
- NATURAL CLN
- FULL RANGE
- CB CRUNCH
- ST CRUNCH
- HIGAIN STK
- POWER DRV
- XTREAM LD 
- CORE MTL
- JC-120: Roland JC-120
- CLEAN TWIN: Fender Twin Reverb
- PR CRUNCH: Fender Pro Reverb
- TWEED: Fender Bassman 4x10 Combo
- DxCRUNCH: Fender Deluxe Reverb
- VO DRIVE: Vox AC-30TB Drive
- VO LEAD: Vox AC-30TB Lead
- MATCH DRV: Matchless D/C-30 Left input
- BG LEAD: MESA/Boogie Combo Amp
- BG DRIVE: MESA/Boogie Treble SHIFT Switch on
- MS1959 I: Marshall 1959 input I
- MS1959 I+II: Marshall 1959 input I + II
- R-FIER VTG: MESA/Boogie DUAL Rectifier channel 2, Vintage mode
- R-FIER MDN: MESA/Boogie DUAL Rectifier channel 2, Modern mode
- T-AMP LD: Hughes & kettner Triamp AMP3
- SLDN: Soldano SLO-100
- 5150 DRV: Peavey EVH5150 Lead channel
- BGNR UB: Bogner Uberschall Hi-Gain channel
- ORNG ROCK: Orange Rockerverb Dirty channel

DELAY(7種類)
- STANDARD
- PAN
- REVERSE
- ANALOG
- TAPE
- MODULATE
- TERA ECHO

REVERB(8種類)
- AMBIENCE
- ROOM
- HALL1
- HALL2
- PLATE
- SPRING
- MODULATE
- DELAY

エフェクターの配置は完全に自由というわけではありませんが、FX1・FX2・ペダル(ワウ系のこと)・オーバードライブ/ディストーション・プリアンプ・ディレイ・リバーブを自由な順番で同時使用できます。

FX1/2の中にコンプやモジュレーション系が入っているので、どのようにエフェクターを選んで配置するかはちょっとしたパズルです。

メーカーから供給されるマニュアルには必要最小限のことしか書かれていないので、後述の別売のマニュアル本が参考になると思います。

3. フットスイッチへの機能のアサインなどが多彩

本体に搭載されている3つのフットスイッチとエクスプレッションペダルに対して、各エフェクターのon/offやパラメーターの変化をアサインできます。

また、BOSS FS-6などの別売のフットスイッチをつないで、そこに各エフェクターのon/offをアサインすることもできます。

ちょっと設定方法がややこしいので最初はとまどいますが、これもすぐに慣れると思います。

後述の別売マニュアル本も参考になります。

4. BOSS TONE STUDIOソフトウエアによるパッチの管理

パッチがMac/PCに保存できるのは大変助かります。

皆さんもそうだと思いますが、エフェクターのセッティングというのは、ギターを変えると全部のパラメーターを微調整しないといけないので、少しずつパラメーターが違うパッチが膨大な数になります。

そこで、GT-1本体に保存できる99個のユーザーパッチ全体を「ストラト用」とか「ハムバッカー用」とかにまとめてMac/PCに書き出しておけば、パッチがごちゃごちゃにならずにすみます。

GT-1のユーザーパッチをまとめてMac/PCに保存するのには「Backup」ボタンを押します。反対に、Mac/PCからGT-1にパッチをまとめて動かすのには、「Apply Liveset」ボタンを押します。

インターフェイスは近代的なデザインでパラメーターが見やすく使い易いですが、どうせなら他社のエディタのようにBOSSのエフェクターのデザインを取り入れてほしかったです。

BOSS TONE CENTRALボタンを押すと、Steve Lukatherが作ったパッチなど、いろいろなパッチがダウンロードできます。

5. 別売のマニュアル本「BOSS GT-1の教科書」の存在

シンコーミュージックエンタテインメント社から発行されている「BOSS GT-1の教科書」は、単にGT-1の使い方マニュアルにとどまらず、アンプや真空管の歴史の説明など、楽器に愛が感じられる素晴らしい解説本になっています。

メーカーがこのような解説をしてくれない中、この本の存在は大変貴重だと思います。

Line6もかつてはPOD XTにはすばらしいマニュアルがついていましたが、最新のHX STOMPのマニュアルはすいぶん淡白になってしまいました。

6. 低レイテンシー

エフェクター内を経由しない音と比べたレイテンシーの測定結果は以下の通りです。

結果:00:00:00.03 = 03 / (25 x 80) x 1000 = 約1.5ms

かなり優秀ではないかと思います。

GT-1をオーディオインターフェスとして使うケースはあまりないと思いますが、オーディオインターフェースとしてのラウンド・トリップ・レイテンシー(RTL)の測定結果は以下のとおりです。

- 48kHz/32samples : 6.729 ms

- 48kHz/16samples : 5.646 ms

- 96kHz/32samples : 6.042 ms

こちらもなかなか優秀な速さではないかと思います。

悪い点

1. ダイナミックレンジがせまい(※個人の感想です)

全く個人の感想なのですが、他機種と比べると、弾いててダイナミックレンジがせまく感じました。

全体的にコンプがかかっているような感じというか、ガツンと引いた時の音量が思うほど出ないように感じるのです。

電池駆動なので仕方がないのかもしれません。

まとめ

低価格な機種ですが十分戦力になるマルチエフェクターです。

初心者から熟達者まで皆さんにお薦めします。

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