Mac/PCのソフトウエアベースのアンプシミュレーターの草分け的存在である、Native Instruments Guitar Rig 5を紹介します。
私の個人的な使用経験に基づいて、ここがおすすめというポイントだけではなく、ちょっとね~というようなマイナスのポイントや、使用の際に注意すべきポイントもあわせて紹介します。
ソフトウエアで誰もが気になるレイテンシーについても実測結果を掲載しています。
このソフトを導入しようかどうしようか迷っている方に参考になれば幸いです。
商品概要
- メーカー:Native Instruments
- メーカーサイト:
https://www.native-instruments.com/jp/ - 商品名:Guitar Rig 5
- メーカー商品サイト(後継ソフトGuitar Rig 6):
https://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/guitar/guitar-rig-6-pro/ - 機能概要:VST/AU プラグインソフト
- 取扱説明書(日本語):マニュアルリンク
- レイテンシー:ダイレクト接続の音との差:約4ms(動作環境は記事参照)
- サイズ:n/a
- 重量:n/a
- 電源:n/a
- バッテリー寿命:n/a
- 実勢販売価格:41,000円弱(2021年11月現在)
- 購入時期:2013年12月
良い点
1. 充実のエフェクターモデル
搭載されているエフェクターの種類は以下の通りです。全部で77種類に及びます。(以下リスト作成にはNative Instrumentsマニュアルとhttps://shink.net/?p=992を参考にしました。Shink.Netさん、ありがとうございます!)
ディレイ系(6種類)
- Delay Man: Electro-Harmoix Memory Man
- PsycheDelay: Eventide H3000 (私のお気に入りです)
- Quad Delay:
- Tape Echo: Roland RE-201 Space Echo
- Traktor Delay:
- Twin Delay:
歪み系(13種類)
- Big Fuzz: Electro-Harmonix Big Muff Pi
- Cat: ProCo RAT
- Demon: MXR Dime Distortion DD11
- Digital LoFi:
- Distortion: Boss DS-1
- Fuzz: Dunlop Dallas Arbiter Fuzz Face
- Gain Booster:
- MeZone: Boss MT-2
- Mulholland Drive:
- Skreamer: Ibanez TS-808
- Sledgehammer: Marshall Jackhammer JH-1
- TransAmp: Tech21 SansAmp GT2
- TrebleBooster: Dallas Rangemaster Treble Booster
ダイナミクス系(7種類)
- Fast Comp: UREI 1176
- Limiter:
- Noise Gate:
- Noise Reduction:
- Stomp Compressor: Boss CS-1
- Tube Compressor: Electro-Harmonix Black Finger Compressor
- Volume Pedal:
イコライザー系(4種類)
- Custom EQ:
- EQ Graphic:
- EQ Parametric:
- EQ Shelving:
フィルター系(9種類)
- AutoFilter: Musitronics Mutron III
- Cry Wah: Dunlop Cry Baby
- Filterbank: Moog Moogerfooger MF-105M MIDI MuRF
- Formant Filter:
- Peak Filter:
- Pro-Filter: Sequential Circuits Prophet-5 Filter Section
- Real Wah: Real McCoy Custom RMC-1
- Talk Wah: Heil Sound Talk Box
- Wahwah: Vox Clyde McCoy Wah Pedal
モディファイアー系(5種類)
- Analog Sequence:
- Envelope:
- Input Level:
- LFO:
- Step Sequencer:
モジュレーション系(8種類)
- Electric Lady: Electro-Harmonix Electric Mistress
- Ensemble: Boss CE-1
- Flanger: TC Electronics Stereo Chorus + Flanger
- Phaser Nine: MXR Phase 90
- Rotator:
- Stereo Tune:
- Stoned Phaser: Electro-Harmonix Small Stone
- Tremolo: Boss TR-2
ピッチ系(5種類)
- Harmonics Synthesizer: Electro-Harmonix Micro Synthesizer
- Oktaver: Boss OC-2
- Pitch Pedal: DigiTech WH-4 Whammy
- Resochord:
- Transpose Stretch:
リバーブ系(7種類)
- IceVerb: Lotus Pedal ICEVERB
- Little Reflektor:
- Octaverb:
- Spring Reverb:
- Studio Reverb:
- Traktor Reverb:
- Vintage Verb:
スペシャルFX系(7種類)
- Beat Slicer:
- Beatmasher:
- Gater:
- Grain Delay:
- Reverse Grain:
- Ring Modulator: moogerfooger MF-102 Ring Modulator
- Ringmod:
ツール系(6種類)
- Container:
- CrossOver:
- Loop Machine:
- Master FX:
- Split:
- SplitMS:
特に歪み系とワウ系(フィルター系)が充実しています。
私は以下のように歪み系を何個か直列で接続してそれぞれをフットスイッチでOn/Offして使うので、様々なブースターや歪み系があると演奏が楽しくなります。
ワウ系はまだエクスプレッションペダル系のフットコントローラーを買っていないので試してませんが、コントローラーを買ったら是非試してみたいと思います。
2. わかりやすいGUIデザイン
GUIはラックエフェクターのようにデザインされていて、音は上から下に流れるように表示されています。
各エフェクターの設定からアンプの設定までスクロール可能な1画面で表示されており、画面を切り替えなくても全てのパラメーターを確認することができます。
いろんな画面を開く必要がなく、この点は他のソフト比べると大変優れた点だと思います。
悪い点
1. レイテンシー
ソフトウェアベースのエフェクターの最大の弱点はレインテンシーです。
レイテンシーが少なければリアルタイムで演奏が可能ですが、レイテンシーが多い場合はリアルタイムでの演奏が困難になり、リアンプ専用としてしか使用できません。
今回のレイテンシーの測定に使用した動作環境は以下のとおりです。
- Guitar RIg 5 version 5.2.2(R8) スタンドアローン版
- iMac (Retina 4K, 21.5-inch, 2017)/プロセッサ 3.4GHz クアッドコアIntel Core i5/メモリ 16GB 2400 MHz DDR4
- macOS Catalina 10.15.7
- MOTU UltraLite mk4
- 内蔵ファームウエア 1.3.5+241
- サンプリング周波数 48kHz
- サンプリング数 32
測定結果:00:00:00.08 = 08 / (25 x 80) x 1000 = 約4ms
アンプのみの場合とアンプ+コントロール(キャビネットシミュレーター)の場合を測定しましたが、どちらもほぼ同じでした。
オーディオインターフェースUltralite Mk4のRTL(ラウンド・トリップ・レイテンシー)は48kHz/32samplesの場合は2.812 msでしたので、RTLに上乗せされる部分はかなり抑えられていると思います(約1ms)。
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アナログ回路のエフェクターやマルチエフェクターには及びませんが、この程度のレイテンシーであれば、ライブ・練習にも実用的に使えるレベルではないかと思います。
ただし、Ultraliteはかなり高速なオーディオインターフェースなので、これより遅い機種を使えばここからかなりレイテンシーは遅くなることを覚悟する必要があります。
また、スタンドアローンソフトではなく、Logic ProなどのDAWのプラグインとして使った場合も、DAWのオーバーヘッド部分が乗りますのでその分遅くなります。
2. モデリングアンプの数が少ない
搭載されているモデリングアンプの種類は以下の通りです。
- AC BOX: Vox AC30
- Bass Pro: Ampeg SVT-2 Pro
- Citrus: Orange Overdrive OD120
- Cool Plex: Marshall JTM45
- Gratifier: MESA/Boogie Dual Rectifier
- High White: Hiwatt DR-103
- Hot Plex: Marshall Plexi 1987
- Hot Solo+: Soldano Hot Rod 100+
- Jazz Amp: Roland JC-120
- Jump: Marshall JMP
- Lead 800: Marshall JCM800 Lead
- Plex: Marshall 1959 SLP
- Twang Reverb: Fender Twin Reverb
- Tweed Delight: Fender Tweed Deluxe
- Tweedman: Fender Bassman
- Ultrasonic: Bogner Überschall
- Van 51: Peavey 5150
特にMarshall系のラインナップが充実しています。
昨今のマルチエフェクターやソフトウエアは膨大な種類のアンプシミュレーターを搭載していますので、17種類という数字はどうしても少ないなと感じてしまいます。
しかし、それぞれのモデリングは丁寧に作られていて、全てが実用になる素晴らしいクオリティです。
まとめ
後継ソフトGuitar Rig 6が発表されてかなりの時間が経ちましたが、私はまだ入手できていません。
現在のGuitar RIg 5でも全く実用上問題がないからですが、今後Guitar Rig 6を入手した暁には是非徹底的に使いつぶした後にレビューを書きたいと思います。
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